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ミニ丸の作り方

先日、「Minimaruのご紹介」という記事で紹介したガジェットですが、あれからいろいろとあって、I/OエクスパンダをPCA9555に変更(経緯的には、TCA9555 → mcp23017 → PCA9555なのですが)して、読みやすくするために「ミニ丸」という名前にしました。

この記事は、いわゆるビルド・ガイドですが、ミニ丸の性質上、いろいろな構成にできるので、ざくっとした説明になります。

注意

ミニ丸は 組み立てキット として配布されており、 半田付けを含む 組み立て作業を必要とします。

ミニ丸ペンダント

moduloアーキテクチャのペンダントです。構成は、MCUにPro Micro(互換品)を使っていることと、ミニ丸デバイスとの連携するための機能を追加していますが、プルアップ抵抗とかは Biacco42さんのペンダント を参考にさせていただいています。

ペンダント

キット内容

  • ベース・プレート … 1枚
  • ボトム・プレート … 1枚
  • アクリル・カバー … 1枚
  • 2.2kΩ抵抗 … 2個
  • 10kΩ抵抗 … 1個
  • 1μFコンデンサ … 1個
  • TRRSジャック … 2個
  • タクト・スイッチ … 1個
  • ジャンパ・ピン(じゃん太) … 1個
  • スペーサー(7mm) … 4個
  • M2(5mm)ネジ … 4本
  • M2(6mm)ネジ … 4本

それ以外に必要なもの

  • Pro Micro(または、その互換品) … 1個
  • ピンヘッダ(2.54mmピッチ12ピン、コンスルー推奨) … 2本

これらは、 遊舎工房さんTALP KEYBOARD さんなどで購入できます。

組み立て

抵抗(表面実装)やTRRSジャック、タクト・スイッチを半田付けします。

抵抗は表面に小さく「222」と書いてあるのが2.2kΩ、「103」と書いてあるのが10kΩです。コンデンサにはなにも表記がありません。R1, R2に2.2kΩの抵抗を、R3に10kΩの抵抗を、C2にコンデンサを半田付けします。

表面実装部品の扱い方はググるとたくさん出てきますが、簡単に説明しておきます。

  • 片方のパッドに半田を盛ります。
  • ピンセットで部品をつまみながら、盛った半田に付けます。
  • それで部品を固定したら、もう片方は普通に半田付けします。

慣れるとスルーホールよりも楽ですよ。

半田付けが終わったら、裏面の出っ張り部分に穴を合わせてベース・プレートを重ね、M2(6mm)のネジを下から通して、スペーサーにネジ留めします。

あとは、アクリル・カバーをM2(5mm)のネジを止て完成です。

注意

当研究所では、ジュラコン(樹脂)のスペーサーを使用しています。そのため、力任せに締め込むとスペーサーの ネジ山が破損 します。軽く抵抗があるくらいのところで止めてください。

当研究所では、常に失敗することを想定しているのですが、その際にやり直せることを重視しています。ネジが外せなくなったときにネジの頭をなめてしまったら取り返しがつかない(方法は無いわけでは無いけど、M2の低頭ネジだから大変)のですが、ジュラコンならば、なめる前にネジ山をぶっちぎって外すことが可能です。

ジャンパ

以上の工程を完了しても、ジャンパ・ピンが余ってしまうのですが、これはRGBLED出力のオプト・インに使います(ファームウェアでRGBLIGHT_ENABLE を yesにした場合のみ)。

ジャンパ・ピンをON側に刺すと、INT信号用のケーブルに、LED用の信号が流れるようになります。off側に刺した場合は、直結用のパッドに信号が流れます。LEDが必要ない場合は、ジャンパ・ピンを刺す必要はありません。

ミニ丸本体

ミニ丸の本体には、16bitのI/Oエクスパンダが1つ実装されていて、最大16点のスイッチを扱うことができます。

キット内容

  • ベース・プレート(黒版はPCA9555 とコンデンサは実装済み) … 1枚
  • ボトム・プレート … 1枚
  • アッパー・プレート … 1枚
  • ピン・ヘッダ(コンスルー 4mm) 6ピン … 4個
  • ピン・ヘッダ(コンスルー 4mm) 3ピン … 2個
  • ジャンパ・ピン(じゃん太) … 12個
  • スペーサー(4mm) … 8個
  • M2(4mm)ネジ … 8本
  • M2(5mm)ネジ … 8本
  • PCA9555(I/Oエクスパンダ) … 1個(白版のみ)
  • 100nFコンデンサ … 1個(白版のみ)

それ以外に必要なもの

  • キースイッチ(kailh choc 又は choc V2) … キーの数分
  • LED(SK6812MINI-E) … キーの数分(お好みで)

ミニ丸はkailhのロープロファイル・スイッチ専用です。Cherry MX互換スイッチは使用できませんので、ご注意ください。

組み立て

白版の場合、PCA9555とコンデンサを半田付けします。自信のない方は、黒版をご使用ください。

半田付け before after

フラックスを付けて、適当に半田付けして、半田吸い取り線で短絡を解消するという手順で、慣れれば数分でできるようになりますが、0.65mmピッチなので面倒くさいし、老眼にはちょっときついです。

ベース・プレートとボトム・プレートは半分ずらして重ねます。

ずらして重ねる

このとき、ベース・プレートにピン・ヘッダを刺した状態で位置合わせしてから、5mmのネジとスペーサーでネジ留めすると楽です。

位置合わせ

ピン・ヘッダを刺すときは、コンスルーの原則(同じ向きに取り付ける)を破って、左右両方とも内側にピンが見えるように指してください(意図しない短絡防止のため)。

コンスルーは内向き

ベース・プレートとボトム・プレートを組み立てたら、ジャンパ・ピンでアドレスを決めます。

アドレスピン

これは、ファームウェアの組み方しだいなのですが、スターターキットを前提にすると、右側から、

  • A0: off, A1: off, A2: off → ox2o
  • A0: ON, A1: off, A2: off → ox21
  • A0: off, A1: ON, A2: 0ff → ox22

としてください。Anのnがビット位置をあらわして、2進数でアドレスを設定します。ひとつの系統でアドレスの重複は許されません。

スイッチ・プレートについては、キースイッチを半田付けするだけです。16個くらいのキーを半田付けしなければならないので、マスキングテープで固定するなど、各自工夫してください。研究員は最上行の4つ、最下行の4つ(もしくは3つ)、残りの行を1行ずつという順番で半田付けしています。

LEDを付けることもできますが、いまいち安定していない(キーボード全体がフリーズすることがある)ので、正式にはサポートしていません(あくまでもお好みで)。LEDの付けかたとしては、フラックスを塗って、LEDを設置して、その上から改めてフラックスを塗り、GND以外のピンから半田付けするとやりやすいです。

LED付き

アッパー・プレートができあがったら、先に組み立てたベース・プレートのピン・ヘッダがうまく入るように取り付け、アッパー・プレート側のピンを半田付けします。コンスルーのメーカー(マック8)は片方(側面に見えるピンに近い方)を半田付けすることを想定しています。ネジ留めするので、半田付けしなくても問題は無く使えるのですが、メーカーの推奨を尊重します。

最後に、アッパー・プレートを4mmのネジでネジ留めすれば本体はできあがりです。

コネクタ

ミニ丸本体には、ペンダントと接続するためのTRRSジャックは含まれていません。

これについては、本体とは別売りのコネクタを使用します(スターターキットに後述のペンダント直結用コネクタが含まれます)。

コネクタ

キット内容

  • コネクタ・プレート … 2枚
  • ベース・プレート … 2枚
  • カバー・プレート … 2枚
  • TRRSジャック … 4個
  • ジャンパ・ピン(じゃん太) … 11個
  • スペーサー(7mm) … 8個
  • M2(4mm)ネジ … 8本
  • M2(6mm)ネジ … 8本

それ以外で必要なもの

  • TRRSケーブル

組み立て

コネクタ・プレートだけ、両面利用できるようにしてしまいました。なぜ、そうしたのか思い出せないんですが。

なので、組み立て時には少し気をつける必要があります。ズバリ、下の画像と同じになるように組み立ててください(スペーサーの色が本来と違うことは見逃して)。

コネクタの実装

上のジャックが、VCC, SDA, SCL, GNDで、下のジャックにINTとLEDが通っています。LEDを使う場合には、ジャックの横でジャンパピンを差し込む必要があります。

直結

ミニ丸は、TRRSケーブルでの接続の他、横に並べてジャンパで直結させる結合ができるようになっています(そのため、ボトム・プレートが全幅の半分ずれている)。

ボトム・プレートによって、物理的に結合したとしても、電気的には繋がっていないので、下の画像のようにジャンパ・ピンを刺すことで接続します。

直結の裏側

上の3つはLED用なので、必要ない場合は繋がなくてもかまいません。

下の6つは上からGND, VCC, SDA, SCL, INT, GND です。

注意

ミニ丸本体とコネクタを組み合わせると、ボトム・プレートが1つ余ります。

ペンダントも直結

ペンダント直結用のコネクタ(のベース・プレート)を使うことで、ペンダントもミニ丸本体に直結できます。

ペンダント直結

ペンダントの直結は、本体の左側からのみとなっています。

ファームウェア

https://github.com/abplus-lab/qmk_firmware

からcloneして、keyboards/gabunshitu/minimaru4 を適当に改造して、使用してください。

https://github.com/abplus-lab/qmk_firmware/tree/gabunshitu/keyboards/gabunshitu/minimaru4/starter

にスターター・キット用のコードを作成したので、

make gabunshitu/minimaru4/starter:default:avrdude

もしくは、

make gabunshitu/minimaru4/starter:via:avrdude

でファームウェアを書き込むことができます。viaの方を書き込んだ場合、 Remap に登録されているので、ブラウザでキーマップの変更ができるようになります。

分からないことがあったら、 マシュマロ を投げてください。