Nakaniwaの紹介と作り方
はじめに
セパレートな60%キーボードです。他の同様なキーボードと異なるところは、がっちゃんこしてくっつけても必ず間に空間があくところです。これ即ち、中庭です。
中庭をアイデンティティとすることで、セパレートで無くてもいいじゃんという発想が生まれ、一体型にもできるようなキット(一体化用プレートも含まれている)になっています。
一体化キットには、ただくっつけて一体化するものと、更に間を空けて、その上に、Magic Trackpad を載せられるようになっているものの2パターンがあります。
mac使いとしては、Magic Trackpadは最強なポインティングデバイスなので、中庭にそれを置けば、最強のキーボードとなり、限り無くエンドゲームに近いキーボードだと思っています。
注意
- Nakaniwaは 組み立てキット として頒布されており、 半田付けを含む 組み立て作業を必要とします。
- 説明に用いている画像は、開発時のものであり、実際とは若干異なる場合があります。
- 部品を破損、紛失した場合は、愚者の部品屋さん で、予備部品を販売しています。
キットに含まれるもの
名称 | 数量 | 備考 |
---|---|---|
ベース・プレート(左) | 1枚 | Pro MicroやI/Oエキスパンダーボード、TRRSジャック等を取り付けます |
ベース・プレート(右) | 1枚 | |
ボトム・プレート(左1) | 1枚 | ベース・プレートの下に配置します |
ボトム・プレート(左2) | 1枚 | ボトム・プレート(右2)と繋がっています |
ボトム・プレート(右1) | 1枚 | |
ボトム・プレート(右2) | 1枚 | ボトム・プレート(左2)と繋がっています |
トップ・プレート(左1) | 1枚 | キースイッチを固定します |
トップ・プレート(左2) | 1枚 | トップ・プレート(右2)と繋がっています |
トップ・プレート(右1) | 1枚 | |
トップ・プレート(右2) | 1枚 | トップ・プレート(左2)と繋がっています |
トップ・プレート(右3黄) | 1枚 | |
トップ・プレート(右3赤) | 1枚 | |
スイッチ・プレート(左) | 1枚 | LEDやソケットを半田付けします |
スイッチ・プレート(右1) | 1枚 | |
スイッチ・プレート(右2) | 1枚 | |
一体化(広)トップ・プレート | 1枚 | 一体化する際に使用します |
一体化(広)ベース・プレート | 1枚 | |
一体化(広)ボトム・プレート | 1枚 | |
一体化(狭)トップ・プレート | 1枚 | |
一体化(狭)ボトム・プレート | 1枚 | |
キースイッチ・ソケット(Cherry MX用) | 71個 | |
コンスルー(h7 6pin) | 20本 | ベースボード・キットとの接続に使用します |
コンスルー(h4 6pin) | 4本 | ベースボード・キットの接続に使用します |
コンスルー(h2 6pin) | 14本 | I/Oエクスパンダ・ボードの接続に使用します |
I/Oエクスパンダ・ボード(32P) | 2個 | PCA9555を2個搭載しています。(緑または黄) |
I/Oエクスパンダ・ボード(16P) | 1個 | PCA9555を1個搭載しています。(緑または黄) |
TRRSジャック | 8個 | 他のデバイスやセパレート時の接続に使用します |
タクトスイッチ | 1個 | リセットスイッチとして使用します |
表面実装抵抗(2.2kΩ) | 2個 | SCAとSCLのプルアップ抵抗です |
表面実装抵抗(10kΩ) | 1個 | INTのプルアップ抵抗です |
表面実装コンデンサ(1μF) | 4個 | TRRSのVCCに繋げるパスコンです |
ジャンパ・ピン(ジャン太) | 20個 | I/Oエクスパンダのアドレス指定と一体化時に使用します |
スペーサ(M2 h12) | 12個 | トップ・プレートの固定に使用します |
スペーサ(M2 h7) | 11個 | スイッチ・プレートの固定に使用します |
スペーサ(M2 h4) | 1個 | スイッチ・プレート(右2)の固定に使用します |
M2ネジ(6mm) | 23個 | ボトム・プレート側からスペーサを固定します |
M2ネジ(5mm) | 13個 | ボトム・プレート側からスペーサを固定します |
M2ネジ(4mm) | 12個 | スイッチ・プレート側からスペーサを固定します |
ゴム足 | 8個 | ボトム・プレートに貼り付けます |
スポンジゴム | 1個 | ProMicroの固定に使用します |
上記以外に必要なもの
- キースイッチ(Cheery MX互換) : 71個+ 予備数個 (ソケット差し込み時にピンを破損する可能性があります)
- キーキャップ : 一式(MINILA Airのキーキャップセットがオススメです)
- スタビライザ : Cherry用の(または互換の)スタビライザ:2U×2, 3Ux1
- ProMicro あるいは互換ボード: コンスルー(12pin)と併せて一式
- TRRSケーブル : 1本(セパレート時のみ)
3Uスタビライザ
3U用のスタビライザは入手困難なので、2U用のスタビライザと3U用のワイヤ(遊舎工房 で購入できます)を組み合わせるのがおすすめです。
- ベース・プレート(左)
- ベース・プレート(右)
- ボトム・プレート(左1)
- ボトム・プレート(左2、右2)
- ボトム・プレート(右1)
- トップ・プレート(左1)
- トップ・プレート(左2、右2)
- トップ・プレート(右1)
- トップ・プレート(右3黄)
- トップ・プレート(右3赤)
- スイッチ・プレート(左)
- スイッチ・プレート(右1)
- スイッチ・プレート(右2)
- 一体化(広)トップ・プレート
- 一体化(広)ベース・プレート
- 一体化(広)ボトム・プレート
- 一体化(狭)トップ・プレート
- 一体化(狭)ボトム・プレート
- その他諸々
トッププレートとボトムプレートの切断とヤスリがけ
繋がっているトッププレートとボトムプレートをニッパで切断します。
突起した部分をヤスリがけして平らにします。
ついでに、トッププレートにスポンジゴムを接着します。 これが、ProMicroを押さえる役割をします。
ベースプレートとボトムプレートの組み立て
抵抗(表面実装)やコンデンサ、TRRSジャック、タクトスイッチを半田付けします。
抵抗は表面に小さく「222」と書いてあるのが2.2kΩ、「103」と書いてあるのが10kΩです。コンデンサにはなにも表記がありません。R1, R2に2.2kΩの抵抗を、R3に10kΩの抵抗を、C1, C2にコンデンサを半田付けします。
表面実装部品の扱い方はググるとたくさん出てきますが、簡単に説明しておきます。
- 片方のパッドに半田を盛ります。
- ピンセットで部品をつまみながら、盛った半田を半田ごてで溶かして付けます。
- それで部品を固定したら、もう片方は普通に半田付けします。
- ダイオードとは異なり、方向は関係ありません。
続いて、コンスルーを全て差し込みます。これは位置合わせのためなので、作業途中で外れてしまってもかまいません。
ボトム・プレートの上にベース・プレートを重ね、以下の組み合わせで固定します。
- 中央(ProMicroやI/Oエクスパンダ・ボードが載る部分):12mmのスペーサと6mmのネジ
- 右下:4mmのスペーサと5mmのネジ
- その他:7mmのスペーサと6mmのネジ
7mmのスペーサとM2 6mmでスペーサを固定します。(右下のみ、4mmのスペーサと5mmのネジの組み合わせ)
注意
当研究所では、ジュラコン(樹脂)のスペーサーを使用しています。そのため、力任せに締め込むとスペーサーの ネジ山が破損 します。軽く抵抗があるくらいのところで止めてください。
スイッチ・プレートの組み立て
スイッチ・プレートの裏側に、スイッチ・ソケットを半田付けしていきます。
その際、下記の要領で行うと楽に半田付けできます。
- パッド部分両方に半田を盛ります。
- ソケットを載せます。
- ソケットの足を半田ごてで熱しながら押す(このとき、ソケットが動かないようにピンセットで抑えておくと良いです。)
- 半田が溶けて、スイッチの足がPCB表面まで届いたら半田ごてを外して、数秒待ち、ピンセットを外します(あまり早く外すとソケットが浮き上がってしまうことがあります)。
- 反対側の足も同様に半田付けします。
半田付け後はこんな感じ
I/Oエクスパンダ・ボードの取り付けとスイッチプレートの取り付け
I/Oエクスパンダ・ボードを差し込み、ジャンパを使って、アドレスを指定します。
- 左のI/Oエクスパンダ・ボードでは、 A1:off, A2:off
- 右上のI/Oエクスパンダ・ボードでは、 A1:ON, A2:off
- 右下のI/Oエクスパンダ・ボードでは、 A0:off, A1:off, A2:ON
よく分からない場合は、画像を拡大して、それにならってください。
このとき、ProMicroも差し込んでください。
その後、ベースボードに刺さっているコンスルーに併せてスイッチ・プレートを載せ、M2 4mmのネジで固定します。
スタビライザの取り付け
スタビライザを取り付けます。
配置上の問題で通常の向きとは逆になっているので注意してください。
注意
3Uのスタビライザを使わずに、キースイッチを3つ使用することもできます。
この場合は、Remap等でキーマップを変更できないので、自分でビルドし直す必要があります。
スイッチとトッププレートの取り付け
本キットでは、トッププレートとスイッチプレートは固定しないので、四隅のキーをはじめに挿して、それから1つずつキースイッチを挿していく方法と、先にトッププレートにスイッチを填め込んでから、一気にスイッチプレートに挿す方法がありますが、自分は一気に挿す方法が好みです。
右下部分は、黄色と赤のプレートがあるので、お好みの方を使用してください。
トッププレートの取り付け
ProMicroとI/Oエクスパンダ・ボード隠すようにトッププレート(2)をM2 4mmのネジで固定します。
スプリット型
スプリットで使用する場合は、TRRSケーブルで一番内側か一番外側のジャックを繋げます。
その内側は、moduloではINT信号だけなので、繋がなくてもかまいません(現時点ではINTは使用していないので)。
一体型(狭いバージョン)
狭い中庭に一体化する場合は、左右のベースプレートを直接並べた状態で、トッププレートとボトムプレートで固定します。
その後、 内側端にある端子をジャンパで繋ぎます(6カ所)。これにより、ケーブルを介さず、直接VCC, SDA, SCL,INT, GND信号が繋がります。
一体型(広いバージョン)
広い中庭に一体化する場合は、左右のベースプレートの間に、一体化用ベースプレートを挟んだ形で並べた状態で、トッププレートとボトムプレートで固定します。
その後、 内側端にある端子をジャンパで繋ぎます(6×2カ所)。これにより、ケーブルを介さず、直接VCC, SDA, SCL,INT, GND信号が繋がります。
ファームウェアの書込
自分でビルドする方法
githubの当研究所のリポジトリからcloneし、gabunshitu/nakaniwa_lcをmakeします。具体的には、
$ git clone git@github.com:abplus-lab/qmk_firmware.git
$ cd qmk_firmware
$ make gabunshitu/nakaniwa_lc:via:avrdude
とします。
ビルド済みファームウェアを入手
当サイトからダウンロードして、QMK Toolbox等で書き込んでください。
Remapから書込
RemapのNakaniwaで、FLASHしてください。