19.2mmピッチの勧め
今、一般的なキーピッチは、19.05mmです。
19.05mmとは
19mmではなく19.05mmって何なん?と思いますが、何のことはない、3/4inch=19.05mmということで、ヤード・ポンド法と分数文化の産物です。
3/4inchという長さが便利な数値であれば、それをそのまま踏襲することもやぶさかではないのですが、そんなことはなく、ただ単にキーピッチとして適当な長さだというだけで、キー配置を設計している時には不便ことこの上ないのが実情です。
例えば、1.25Uのキーの中心までの寸法を計算すると、
1.25U/2 = = 5/8u = 15/32inch = 11.90625mm
0.0625を無視するとしたら、11.9mmですがキー配置を相対的に決めていく場合、誤差が積み重なっていくので、適切ではありません。
ちなみに、1inch=1000mil(1u=750mil)という単位もあるのですが、それを使っても、
15/32inch = 15000/32mil = 468.75mil
5桁で、なおかつ、適当な丸め方が判断できない長さです。
19.2mmだと
そこで考えたのが、キーピッチの基本単位を19.2mmにする方法です。
上記と同様に、1.25Uのキーの中心までの寸法を考えてみましょう。
1.25U/2 = 5/8u = 12mm
まぁこれはできすぎなので、 1.5Uのキーの中心までの寸法も計算してみましょう。
1.5U/2 =3/4u = 14.4mm
小数点第1位に収まっています。実は、ほとんどのパターンで小数点第1位に収まります。
それは、19.2という数値の性質によります。
192=3×2×2×2×2×2×2
19.2を10倍した192を素因数分解すると、3×2の6乗になります。つまり、64までの2のべき乗で割り切れるのです。 通常のキーキャップのサイズは、1/4u単位で決められることと、それの中心を求めるには、それに1/2を掛ければ良いことを考えると、8で割り切れる数であれば、扱いやすいということがわかります。
192は2の6乗の倍数なので、8で割っても余裕で割り切れます。なので、それの0.1倍である19.2は大抵の場合、0.1の位で収まるということになります。
実用上問題ない?
一般的なキーピッチである19.05mmとの差は0.15mm。これは実用上、どれくらいの差なのかなのですが、
- 19.05mmよりも広いので、隣接するキーキャップが接触する心配は無し。
- 7×0.15mm = 1.05mm ということで、7列でおよそ1mmの差が生じる。
1mmの位置の違いに気がつくくらい敏感でなければ、特に問題は生じないと思います。
ということで当研究所で、開発しているキーボードは、19.2mmピッチを基本としています。